【名医に聞く 便秘】糖尿病、うつ病、認知症などが影響することも
【名医に聞く 便秘】糖尿病、うつ病、認知症などが影響することも。油分の不足も原因の一つ。生活指導で改善しなければタイプに合わせた薬物療法を 4/19(水) 12:31配信 1 コメント1件 婦人公論.jp 1 / 2 婦人公論.jp 人に打ち明けられない不調や悩み。日々医療は進歩し、治療法が開発されていることも。大切な自身や家族の健康は、ぜひ医師に相談してみてください。女性に多い病気を中心に、症状、原因、治療、予防の4つの観点でご紹介します。第26回は、「便秘」です。 (取材・文/松井宏夫 医学ジャーナリスト) 【図】あなたの便のタイプは?健康度チェック * * * * * * * ◆〈症状〉排便の困難に悩む人が多い 便秘の症状として、誰もが頭に思い描くのは、「お通じの回数が少ない」ということでしょう。しかし、お通じの回数が少なくても、「便が硬くない」「お腹が張ってつらいなどの症状がない」場合は、便秘とはいいません。 便秘の症状は大きく分けると2つあります。1つは「排便回数の減少」、もう1つが「排便困難」です。排便回数では「3日以上排便がない状態」または「排便回数が週に3回未満」になると便秘と診断します。このように排便回数が減ると、直腸、結腸に便が溜まるので、「腹部膨満感」や「腹痛」などの「腹部不快感」を伴います。 一方、排便の困難は、快適に排便ができない状態です。そのため「トイレで過度にいきむ」「排便後も便が残っている感じがある(残便感)」「便が硬くて出ない」などの原因で、トイレからなかなか出られない状態を指します。 図:便秘が起こるメカニズム ◆〈原因〉便秘を引き起こす4つの原因とは 食べ物などを摂ると、消化管で消化・吸収が行われ、老廃物が便となって1~3日で排泄されます。が、小腸や大腸の働きが何らかの原因で低下した場合、便が硬くなって便秘になるのです。 その原因はさまざまで、「器質性・症候性便秘」「薬剤性便秘」「機能性便秘」「便秘型過敏性腸症候群」の4つに分けられます。器質性・症候性便秘は、消化管の疾患により、腸の働きの低下や腸管内が狭くなることで起きます。 また、糖尿病、うつ病、パーキンソン病、レビー小体型認知症などの疾患で二次的に便秘になることも。薬剤性便秘は、腸管の動きを抑える作用のある薬剤の服用により起こるもの。機能性便秘は前の2つにあてはまらない便秘です。 4つ目の便秘型過敏性腸症候群は、ストレスが原因の過敏性腸症候群の便秘型です。 19(水) 12:31配信 1 コメント1件 婦人公論.jp 表:ブリストル便性状スケールによる便のタイプ ◆〈治療〉胆汁酸を増やす新しい治療薬も 治療は、「生活指導」「食事」「運動」「心理療法」「便秘のタイプに合わせた薬物療法」の5つが柱。生活指導などで改善しない場合は、薬物療法を行います。 その第1選択薬は「酸化マグネシウム製剤」で、浸透圧性下剤ともいわれています。浸透圧で大腸内に水分を引き込み、便を軟らかくしてくれます。効果が十分でない場合は、「刺激性下剤」を併用。これは腸の粘膜を刺激して排便を促すもので、一時的に使います。この薬物療法で十分でない場合は、「グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト(リンゼス)」や「クロライドチャネルアクチベーター(アミティーザ)」を処方。 リンゼスは便に水分を補給し軟らかくして排便を促すとともに、便秘型過敏性腸症候群のように腸が過敏になっているのを抑えてくれる作用もあり、過敏性腸症候群の便秘型には有効な薬です。一方、アミティーザは小腸に作用して水分を増やし便を軟らかくします。ただ、若い人ではお腹が張ったり、気持ちが悪くなったりするケースも。 さらに、胆汁酸の再吸収を阻害し、胆汁酸の量を増やして大腸の水分を増やす「胆汁酸トランスポーター阻害薬(グーフィス)」も使われます。浸透圧性下剤であるポリエチレングリコール(モビコール)も有用です。また、「漢方製剤」を希望する方には「潤腸湯(じゅんちょうとう)」「大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)」などが処方されます。 食物繊維を多く含む食材 ◆〈予防〉適度な運動と水分と油の摂取を まずは「規則正しい生活」を心がけることからスタート。「十分な睡眠」をとり、朝はトイレタイムを考えて早起きをする。そして、ストレスを溜めこまず、上手に解消しましょう。加えて、「適度な運動」は大腸の動きを活発にするので排便に結びつきます。1日10分でいいので、のんびりと景色を見ながら楽しく歩く時間を。これくらいの負荷のウォーキングが便秘改善にもっともよいといわれています。 そして、「食生活」が大きく関係するので、見直しましょう。まずは水分ですが、意外に水分摂取量が少ない人が多いです。1日1.5L程度が適量ですが、腸が過敏な場合は、ぬるま湯やお茶で少しずつ摂取するようにしましょう。水分の次は食事。「食物繊維」の摂取目標量は、成人男性で1日20g以上、成人女性で18g以上。食物繊維が多く含まれている食材は、豆類をはじめ、しいたけなどのきのこ類、わかめ、寒天などの海藻類、ゴボウ、ふき、セロリなどの野菜類、穀類、果物など。加熱したものがお勧めで、同時に油分も摂取してください。 油分不足も便秘の原因の一つです。和食中心の食生活であれば、自然に便秘の予防・改善が期待できますし、加えてサバ、サンマなどの青魚を食べれば、DHAやEPAなどが摂取でき、一石二鳥です。
コメント
コメントを投稿